セブ島通信 Vol.160 2017年09月号へ戻る

にほんご人をつなげたい

新谷 知佳

セブに来て5ヶ月がたちました。海外での生活は、日本語教師として行ったタイとトルコ、そして短期留学で行ったデンマークを含めると4カ国目になります。偶然ですが、タイもトルコもそして今回のフィリピンも首都ではなく地方都市です。日本では大阪にしか住んだことのなかった私が、20歳でタイに渡った際には、異文化の中での生活に苦労し、衝突の絶えない日々でした。しかし、その後いろいろな国を経験する中で、図太くなったというか、精神面で鍛えられ、少しのことでは動揺しないようになりました。セブでの生活は、時間が読めなかったり、移動がスムーズにいかなかったりと、不便さを感じることも多いですが、セブの人たちのおおらかさ、ノリの良さに元気をもらい、楽しく仕事をしています。今の仕事は、日本の国際交流基金の派遣で、ヴィサヤ地域の日本語教育アドバイザーとして、日本語教育活性化に取り組むことです。現在の仕事を知るきっかけになったのが、学生時代に参加した研修旅行でした。教授企画のその旅行は世界各国で活躍している先輩方を訪ね、その教育機関や学習者と交流することを主な目的にしています。在学中に計5回参加しましたが、大学1年生ではじめて参加した回の行き先がインドネシアとフィリピン(マニラ)でした。はじめて海外で日本語を学んでいる人に会い、はじめて海外で日本語教師として働いている人に会い、何もかもが新鮮で刺激的だったのを今でも覚えています。そのときの訪問先の一つが現在の所属先である「国際交流基金マニラ日本文化センター」です。まさか本当に自分がそこで働くことになるとは当時思ってもいませんでしたが、今では何だか運命すら感じてしまいます。世界中にたくさん日本語を学んでいる人がいる中で、この仕事に就くきっかけとなった旅行で訪れた地で働いているのですから。  現在、ヴィサヤ地域では11の公立高校で日本語プログラムが実施されています。セブ市内だけではなく、ボホールやダナオでも行われています。私の業務の一つが、それらの高校に所属する先生達を対象とした研修を実施したり、各高校を訪問したりすることです。研修は3年間のプログラムで、現在は4期生の2年目研修を実施中です。毎月各地からセブ市内の研修施設に集まり、日本語や教授法などを学んでいます。ヴィサヤ語、英語、フィリピン語の3言語を操る先生達ですから、日本語にも抵抗感を感じることなくのびのびと学んでいる印象を受けます。先生達は何事にも全力で取り組み、一つ一つの授業がとても盛り上がり、研修実施側も楽しませてもらっています。高校訪問では、日帰りでバランバンに行ったり、船に乗ってボホールに行ったりとハードスケジュールなことも多いですが、日本語を学んでいる高校生達はその若さゆえに先生達以上にパワフルで、ここでもやはりたくさんの力をもらえるので、不思議と帰路に疲れ果てているということがありません。今年度は、日本語パートナーズとして3名がバランバン、ダナオ周辺、マクタン島内の計5校に派遣されており、高校における日本語教育をさらに盛り上げています。高校生のうちに「日本語」という外国語に触れ、異文化を学んだ生徒たちが将来どんな活躍をしてくれるのか今から楽しみです。  先日、「セブ!にほんご人のwa!!〜Japanese Language Education Network in CEBU〜」というfacebookページを立ち上げました。「にほんご人」は日本語でコミュニケーションをする人々の総称です。国籍に関係なく、国際社会において日本語を使って活動している人すべてを指します。ヴィサヤ地域の日本語教育の特徴として、地域をリードするような大きな日本語教育機関があるわけではなく、小規模ながら高校、大学、語学学校、企業などさまざまな機関で行われているという点が挙げられます。しかし、それ故に日本語を教えている人、学んでいる人同士のネットワークはあまり強くありません。そこで、そのような人達に情報を発信し、つながる機会を作る場として、FBページを作成しました。現在は教育機関の紹介が中心ですが、今後は日本語にもっと興味をもってもらえるようなコンテンツや集まれる場の情報を発信していけるよう、日々模索中です。オフラインで、日本語を教えている人、将来教えたい人が集まる場としてはANT-V(Association of Nihongo Teachers in the Visayas)という団体が毎月勉強会を開催しています。セブの盆おどりのカラオケコンテストを担当しているのもこのANT-Vです。メンバーは20名ほどで多くはありませんが、勉強会に参加しているメンバーは若い人も多く、今後のヴィサヤ地域の日本語教育を引っ張っていってくれる存在だと思っています。FBページの活用、そしてこのANT-Vメンバーとも協力しながら、更なるヴィサヤ地域の日本語教育活性化を目指して、日々を楽しみながら、取り組んでいきたいと思います。

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