セブ島通信 Vol.164 2018年05月号へ戻る

来年の盆踊り大会は中止!!その決断までの軌跡 ~ 大成功の第5回盆踊り大会!その舞台裏では!? ~

盆踊り大会委員長 山中 博

来年の盆踊り大会は断腸の思いで中止とさせていただきます。その決断までの軌跡をこちらでご報告させていただきます。 4月28日(土)・29日(日)の2日間、セブ島で「第5回日比交流盆踊り大会」を開催いたしました。2日間で何と15,000人以上の来場者を記録し、すでにセブ島で行われる巨大イベントの一つとして認識されるまでになりました。会場では、様々な日本文化、日本食が体験でき、フィナーレにはフィリピン人も日本人も一緒になって櫓(やぐら)を囲み、東京音頭と東京盆踊り2020を踊りました。 しかし、例年のことですが、その舞台裏では一言では言い尽くすことができない大変なことが起こっていました。一難去ってまた一難。皆様に盆踊り大会運営委員(フィリピンと日本の懸け橋に寄与する無償ボランティア)の奮闘努力を少しでもご理解いただければ幸いです。 ■開催時期と場所■ まずは盆踊り大会を開催するにあたり、『いつ』『どこで』開催するのかを決めなければいけません。場所に関しては、「2017年の3万3千人の来場者を収容できるスペース」を考えると、昨年同様SRPスグボグランドしかないと考えていました。しかし、そのスペースは第3マクタン橋の資材置き場になり、2018年は使えないことが判明しました。いくら探してもスグボグランドと同じ大きさのスペースはなく、縮小しても開催することを決断しました。Jセンターモールの裏手に空き地があることを聞きつけて早速オーナーと交渉しました。ミーティングを重ねた上、空き地を使わせていただけることになりました。しかしそこにはたくさんの問題点が・・・。 ●問題点① この地にコンドミニアムの建設予定があり、1年だけしか使えない。 ●問題点② 広さはスグボグランドの約3分の1⇒昨年の3万3千人は収容できない。 ●問題点③ 街の中心なので、人が殺到すれば入場制限もありうる。 ●問題点④ 街の中心で毎年恒例のセスナ機フライトショーができるのか。 ●問題点⑤ 「空き地」はどう見ても「荒れ地」。期日までに整備にできるのか。 ●問題点⑥ マンダウエ市はゴミ処理の規制が厳しい。 上記以外にも様々な問題点がありましたが、ほかに選択肢がないため、協議の結果、ここでの開催を決断しました。 ●① ⇒ 2019年度はスグボと同じ大きさのスペースを確保できました。 ●② ⇒ 広さに見合った来場者数でした。 ●③ ⇒ Jセンターモールにもうまく人が拡散しました。 ●④ ⇒ セブトップさんのおかげでフライトショーができました。 ●⑤ ⇒ Jセンターモールさん、期日を守っていただきありがとうございました。 ●⑥ ⇒ ゴミの分別講習・エコブースのご協力ありがとうございました。 関係者の皆様、本当にありがとうございます。 ■開催時期の変更■ フィリピンの夏休みは4月5月です。より多くの若者が参加できるようにと第3回より4月5月の開催に変更しました。更に、セブでは渋滞が大きな社会問題となっています。数万人規模のイベントを行う際に、この渋滞が大きな問題になります。通常より渋滞が軽減するこの夏休み期間しか、市からの開催許可が下りないのです。また日本のゴールデンウィークにあたるため、日本からもたくさんの方にご参加いただきました。 ■イベント会社の利用中止■ 2017年はイベント会社を利用することで、様々な衝突があったため、すべて委員会で行うことになりました。「利益追求」のイベント会社を使うことなく、本来の日本人の熱い想いだけで「完全ボランティア」で盆踊り大会を行うことを決意しました。 ■フィリピン人ボランティア■ 大会委員メンバーひとりひとりが、それぞれの仕事がある中、ひとりでも多くの笑顔を作りだすために、熱意と情熱を持って、準備を進めていきました。そして、今回もフィリピン人ボランティアが60名以上加わり、フィリピン人と日本人が手を取り合って開催するイベントになりました。 大会を裏で支えてくれたフィリピン人ボランティアについて、少しご紹介させていただきます。今回手伝ってくれたボランティアのほとんどが、日本が大好きな学生です。中には仕事を持っていて、その合間をぬって寝ずに手伝いをしてくれたメンバーもいます。全員が時間的にも金銭的にも決して余裕のあるメンバーではありませんが「日本が好きだから」という純粋な理由で、毎年快く裏方の仕事を手伝ってくれています。 さらに、盆踊り大会目玉イベントの一つである3大コンテスト、「カラオケコンテスト」「浴衣コンテスト」「コスプレコンテスト」の運営は全てフィリピン人ボランティアによるものです。参加者の募集、オーディション、大会当日の運営まで膨大な作業があると思います。彼らの力なしには、今回の成功はなかったと思います。 ■目玉イベントプログラム■  『盆踊りと言えば太鼓』です。フィリピン人に本物の和太鼓の音色を届けたい!という想いから、今年も和太鼓チームを招聘することにしました。しかし、和太鼓の招聘には膨大な費用と関税に関わるたくさんの問題があります。昨年に引き続き今回世界的に活躍する和太鼓チーム「GOCOO」を招聘するために、様々な助成金を申請しました。しかし、すべて落とされるという結果に。悩んでいる際、和光太鼓さんに来ていただけることになりました。和光太鼓さんは盆踊りの前身ともいえる、2012年に開催されたJapan Festivalにも参加いただいており、6年ぶり2度目のセブでの演奏となりました。動きのある躍動感あふれる演奏は、会場にいるすべての人々の目をくぎ付けにしていました。 昨年に引き続き、芸術性の高い日本のファイヤーダンサーチーム火付盗賊さんにも出演していただきました。今年はマニラ、セブのダンサーを交えた混合チームで出場し、ステージの上でも見事な日比融合のショーを見せてくれました。 毎年恒例の大空亜由美さんは、既に地元のファンも多く、歌が始まるとたくさんのフィリピン人が亜由美さんのオリジナルうちわを振って応援しました。日本の演歌の心は着実にセブの人々にも定着しています。 同じく毎年恒例の吉本興業マニラ住みます芸人HPN3さんは、セブの人々をより楽しませるためにと、普段のタガログ語漫才からさらに進化し、ビサヤ語漫才を披露してくれました。日本人がビサヤ語で漫才をするという意外性も重なり、会場は大きな笑いで包まれました。 セブの人々により多くの日本文化を伝えたいという思いから、今年は初めて日本から和文化芸能グループ夢幻陣さん、北海道ご当地道産子ヒーロー 舞神 双嵐龍(ソーランドラゴン)さんに出演いただきました。日本といえば、忍者に侍というイメージをもつフィリピン人には、様々な衣装で舞う夢幻陣のステージはまさに夢に見た日本そのままだったようです。さらに小さなころから憧れていた日本の戦隊ヒーローを目の当たりにし、会場は大興奮でした。2チームは会場内でも無料のワークショップを開いていただき、ステージ上で見るだけの文化ではなく、実際に体験できる日本文化をご紹介いただきました。 ■チケット価格の設定■ 2017年は大きな赤字になったため、入場料を高くする案が出ました。当初は100ペソという意見がありました。セブのイベントではもっと高額なものが沢山あります。しかし、私たちは一人でも多くの子供たち、貧困層たちにもこの素敵なイベントを楽しんでもらうことも重要であると考え、様々な意見の中で調整した結果、50ペソに決定しました。 ■貧困層へのワークショップ■ 残念ながら50ペソの入場料が払えず、会場に入れない子供たちがいることは事実です。そこで、そんな貧困層にも日本文化を知ってもらうために、昨年より貧困地区でのワークショップを開催しました。異文化、芸術に触れる機会のない貧困層の子供たちにとって、この体験や感動が「未来を描くチカラ」になりました。 ■赤字■ 盆踊り大会はすべてスポンサー様のご支援、出店料、さらに入場料で賄われています。大きな助成金や協賛金はなく、一社一社に実行委員がお願いをしてご協力いただいております。盆踊り大会を成功させ、たくさんの来場者で会場を埋めることがご協力いただいたスポンサー様にできる私たちのせめてものお礼です。そのためには、プログラムの充実が欠かせません。しかし、プログラムを充実させればさせるほど予算は膨らみます。その駆け引きの中、やはりスポンサー様の満足、なにより会場に集まってくれたすべての観客の満足を考え進めたところ、今年も赤字という結果になってしまいました。しかし、そんな赤字も忘れてしまうほどのお客さんの笑顔、歓声をいただき、たくさんの思い出が残ったはずです。 ■エコイベントを目指して■ 盆踊り大会は、毎年、株式会社GUUN様のご協力のもとゴミの分別を徹底し、エコなイベントを目指してきました。しかしながら、残念なことに毎年大会終了後には会場中にたくさんのゴミが落ちていました。今年はそのようなことがないように、アナウンスの徹底を図り会場を常に清潔に保つことができました。また、ゴミの分別の末に何があるのかを啓蒙するために、リサイクルエコアート、エコ作品の展示、ワークショップも開催しました。 ■安全対策■ 昨年はボホール島銃撃戦、ミンダナオ島でのテロ事件など、様々なニュースが飛び交いました。今回も現地警備会社、警察など多方面の協力を得て厳重な警備を行いました。大きな事件や事故がなく、無事に盆踊り大会を執り行うことができました。 ■来年(2019年盆踊り大会)は開催中止!“■ 今では「Bon Odori」という単語が、フィリピンに定着しており、多くの人々がこの盆踊り大会を楽しみにしていただいています。その期待に応えるべく、実行委員は自分の仕事、家庭を顧みず、大会運営に力を注いできました。 しかし、実行委員は全て素人集団です。皆様の期待に100%答えることができないこともあります。そのため、ご出店者様、お客さんから厳しいお言葉をいただくことも多々ありました。本番直前の準備期間には、寝不足と会場の暑さから体調を崩してしまう実行委員もいました。地元業者とのやり取りがうまくいかず、ストレスが積もり仲間内で言い争うこともありました。そんな中でも、このイベントの本来の目的「フィリピンと日本の素敵な異文化交流」を忘れずに最後まで歯を食いしばって大会運営にあたりました。 しかし実行委員それぞれのビジネス、家庭、健康状態を考えると、増大し続ける皆様の期待に100%こたえ続けることに限界を感じています。「フィリピンと日本の素敵な異文化交流」を提供したいという私たちの志には変わりありません。 実行委員は一銭のお金もいただくことなく、日比の交流のためにこの盆踊り大会を続けてきたことを十分にご理解いただき、十分なご協力者が集まった際には再びこの素敵なお祭りを再開したいと思っております。 ■最後に■ 盆踊り大会の本当の意味をご存知でしょうか?現在日本人も忘れがちですが、盆踊りは祖先の魂を供養するために開催されています。日本人にとってここセブは異国の地です。しかし太平洋戦争中、この地で多くの日本兵が亡くなり、さらに多くのフィリピン人が亡くなりました。彼らの魂の供養には、日本人とフィリピン人が仲良く輪になって平和に踊っている姿を見ていただくことが一番だと信じています。 そして外国人である日本人を温かく迎えてくれるフィリピン人へのお礼の気持ちを込めて、運営委員会みんなが力を合わせてこの盆踊り大会を作り上げてきました。本当に、セブにいながら120%日本を味わえるイベントであったと思います。その場にいた人々すべてが笑顔になれるこんな素晴らしいイベントをずっと続けて行きたかったです。 私たちは暫く充電期間を頂戴し、またこの素敵なイベントを再開するときが来た際には是非皆様のご来場をお待ちしています。 今までこの大会にご協力いただきました、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。 今まで本当にありがとうございました。

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