セブ島通信 Vol.165 2018年07月号へ戻る

女37歳 セブ島で楽しく明るい貧乏生活

JUNKO

最近、セブでの生活で「理不尽」さを感じることが多いです。 ひとつはDAREDEMO HEROのフィリピン人スタッフの話です。彼は数か月前にバイクに乗っていたところ、後ろからタクシーに当てられて怪我をしました。大事には至りませんでしたが、怪我のために仕事を数日間休むことになりました。日本であれば100%タクシーの過失であり、保険料や損害賠償金に関してそれほどもめることはありません。しかし、ここフィリピンではそんなに簡単ではありません。彼は週末になれば警察や裁判所に出向き、時には急な呼び出しで仕事を休むこともありました。彼の話によれば、加害者であるタクシー運転手が警察には出頭せず、裁判所にも出廷しないため、タクシー会社に連絡をして出頭、出廷するように手続きを取っているとか。結局、いまだに治療費とバイクの修理費用は支払われていません。 さらに彼の不幸は続きます。数週間前、彼は借家の敷地内に停めていたバイクが盗まれてしまいました。またしても盗難届を出すために仕事を数日休むことになります。しかし、この国で盗難届を出したところで何も起こりません。そのため独自の捜査を進めた結果、犯人は借りている家のオーナーの息子であると判明しました。「警察には言わないので、バイクだけ返してくれ」とお願いをしたようですが、明確な返答がないまま、いまだにバイクは返却されていません。その後、そのオーナーから彼に圧力がかかり、急遽、家を引っ越さなければいけないことになりました。しかし子どもは転校したくないという理由で家族は近所に家を探し、彼だけが職場の近くにベットスペースだけの小さな部屋を借りて引っ越すことになりました。 このような話を聞くと、このスタッフに何か問題があるのでは?と思われるかもしれませんが、彼は単に「とてもいい人」なのです。怒ったり相手を責めたりすることができない「いい人」が損をしてしまうのは、とても悲しいことです。 さらにもうひとつ、理不尽なことがありました。現在DAREDEMO HEROで医療支援をしている子どもがいます。その支援の際、この国の公立病院の効率の悪さをしみじみと感じました。検査機器が不足しているとの理由で病院のたらいまわしは当たり前。連絡ミス、調整ミスによるリスケジュールも特別なことではありません。そのため、すべてが予定通りに進まず、何度も何度も病院に行かなければならないのです。ひとつの検査に1日、2日はかかるため、患者も家族もくたくたです。医者からの説明が不足していたり、貧困層の家族には到底理解できない専門用語や難しい言葉を並べられたりするため理解ができず、どうしていいか分からないまま、ただただ時間だけが過ぎていくのです。 この件に関しても、この家族には何の問題もありません。自信がないために「主張ができない」のです。 私はこの話に出てくるスタッフも、家族もみんな大好きです。みんな家族想いでとてもやさしい人たちです。しかし少し知識が不足しているために自信がなく、主張ができずに損をしてしまうのです。だからといって、ずる賢く、激しく自己主張をして生きていくほうがいいとは思えません。この「理不尽さ」はどこの国でもあるかもしれませんが、貧富の差や知識の差が激しいこの国では、他国よりもさらに顕著に表れているように感じます。また様々なルールが富裕層に有利に作られていると感じます。 いい人たちが、いい人でいられ続けるためにも、この「理不尽さ」が少しでもなくなってほしいと思ってやみません。

セブ島通信 Vol.165 2018年07月号へ戻る