補習校とコロナ 蝶谷正明[セブ島通信1月号]
補習校とコロナ 蝶谷正明
2020年という年はセブの補習授業校 にとっても、とてつもない一年となりました。1月、2月にはコロナはまだまだ日本や 中国といった対岸の火事だとたかを括っていたのですが、3月になった途端に一気に身近に迫ってきました。
運営委員会として期間未定の休校措置に踏み切りましたが、この時点では2、3ヶ月もすれば落ち着くものと楽観していました。結果から見れば10ヶ月が経過した年末に於いても再開の見込みが立っていません。一年近く子供達は外出もままならず、現地校もオンライン授業に移行せざるを得ない中、9月から試行錯誤でオンラインをスタートしました。
当初の悲観的予想に反して、保護者、子供達、講師の三位一体の協力のお陰で満足のいく状態が保てています。ご家族の都合や方針で帰国した生徒も少なくないのですが、日本から参加している 子供達もおり、補習校という小さな所帯だからこその絆の存在を感じています。
オンライン教育は知識の習得という点に関してはセブの基幹産業の一つ にもなりつつある英会話レッスンで既に証明されています。特に児童生徒にとっては大人の危惧などお構いなしに抵抗もなく馴染んでおり、代替教育メソッドではなくて立派に機能し得るようです。もちろん人との直接の触れ合いという知識以上に重要な部分が抜け落ちている点は今後の大きな課題になります。
フィリピン政府はコロナワクチンの接種開始と対面授業 の再開をリンクさせる方針のようですが、現状では具体的な時期は明示されていませんし、補習校としても子供達の安全第一のポリシーを堅持しますので、現状では2021年のどの時点での再開かの目処は立っていません。
しかし、オンライン授業の経験は今後の補習校のあり方に大きな一石を投じることになる可能性を秘めています。補習校のあるマンダウエからは遠隔のため通学を断念していた子供達が、日本語での教育の機会を得ることも現実味を帯びて来ました。我々は否応なしにニューノーマルの時代に突入してしまいました。日本人児童の教育もその中で種々模索し、そこにこれまでの常識や型とは異なるいき方を見出していきます。