セブ日本人会会報での新年の挨拶(川﨑 敏秀)
在セブ日本国総領事館 総 領 事 川﨑 敏秀
新年明けましておめでとうございます。謹んで新春のお慶びを申し上げます。
2022年の年頭にあたり、セブの在留邦人の皆様のご発展とご成功、そしてご健康とご多幸を心からお祈り申し上げます。
2021年は、一昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染症は終息せず、それ以上に、手を変え、品を変えて、新たな脅威となり新規感染拡大を招き、皆様の生活にも非常に深刻な制約や支障があったことと存じます。
しかしながら、その中でも、単にコロナ禍の過ぎ去るのを待つのではなく、セブの日本人の皆様と一丸となって、外務省の海外在留邦人・日系人の生活・ビジネス基盤強化事業を活用した在留邦人の皆様の新型コロナウイルス感染対策、そしてセブ市の協力の下、在留邦人ワクチン接種事業に取り組むことができましたことは、セブの日本人社会が、共通の困難に、共に立ち向かうことができることを確認できた素晴らしい大きな実績になったと思います。
また、その新型コロナウイルス感染症も、昨年11月頃に、12月あるいは新年からビザなしでのセブ観光の再開が期待されましたが、変異株オミクロンの出現でかなわぬ夢となりました。更に、追い打ちをかけるかのように、12月16日、まるで竜巻のような台風22号(フィリピン名:オデット)が襲来し、セブ日本人会事務所を含め、在留邦人のご自宅、生活に大きな被害を残しました。私の公邸も被災し、深夜12時頃でしょうか、大きな寝室のガラス戸2枚が吸いこまれるような風圧で、外側の闇に消えていってしまった恐ろしさは今でも忘れることができません。台風一過の17日、セブの町の様子は一変していました。例外なく、町中の大木、電柱が倒れ、窓ガラス、壁材などの多くが吹き飛んでいましたし、道もどこを通って良いのか分からないほど瓦礫で埋まっている通りもありました。
なお、このように大きな被害の中で、セブ日本人会、日本人NGO、そしてセブ情報を発信されているユーチューバーの皆様をはじめ、多くの日本人が立ち上がり、自らも被災し、住まい、食料、飲料、シャワーにも不自由される中でも、一体となって、炊き出し、食料配布などの被災者支援に当たられました。私も、ご一緒させていただきましたが、子供達が本当に嬉しそうにおかゆをほおばっている姿が目に焼き付いています。これもまた、セブの社会と台風被災者の困難に対し、セブ日本人社会が、改めてオールジャパンで一体感を示すことができた大きな実績であり、自信となったのではないでしょうか。
日本とフィリピンとの関係は、昨年、日比国交正常化65周年、そして戦略的パートナーシップ10周年という、日比両国の未来にとって非常に重要な一年を迎えました。そして、こうした重要な2021年に、在セブ日本国総領事館を新規に立ち上げることができたことは、日本とセブをはじめとするビサヤ地域との関係でも、同地域における更なる領事サービス、企業支援の向上の観点からも重要であり大きな喜びであります。
在セブ日本国総領事館としましては、未だ、新型コロナウイルスの終息の見通しも立たず、また、台風被害も、未だ復旧に向けての作業が急がれている状況ではありますが、昨年1年間に新型コロナウイルス及び台風被害という大きな困難に共に立ち向かった皆様との相互の信頼そして協力関係を、2022年に更に一層強化していくため、皆様のご意見やご要望をお聞きしつつ、全力を挙げて、皆様の安全と安心に向けて一層取り組みたいと思っております。
そして、2022年がこうした困難を吹き飛ばし、勢いよく人流と経済を復活してくれることを願っております。
改めて、セブ日本人会の皆様、そして在留邦人の皆様の新年のご多幸をお祈りし、新年の挨拶の言葉とさせていただきます。